・・・を観て深く刻まれた感動を、ケーテが四年の間じっと持ち続けて、ついに作品にまとめたということは、ケーテという婦人画家の天質の一つの特質を語るものではないだろうか。モティーフを、自身の感情の奥深くまで沈潜させ、すっかりわがものとしきらなければ作・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・そのようなモティーフに立ってモスクワを背景とするこの短篇がかかれた。「広場」の題材は、今執筆中の「道標」第三部の終りの部分で再びとりあげられる。そこでは十年前にはっきり描き出す自由をうばわれていたソヴェトの社会主義社会の生活の中で女主人公が・・・ 宮本百合子 「作者のことば(『現代日本文学選集』第八巻)」
・・・ブルジョア文学がいつも大事に創作のモティーフとして、純粋性として主張する実感そのものなのです。こういうところにはっきりブルジョア文学の文学感覚と、わたしたち人民の文学を生み、またこれから生もうとしている者の本質的な人生と文学との感覚のちがい・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫