・・・しかしその二つの世界の限界を定めようとする時にドーミエーやゴヤやロートレークの或る作物をいずれの領分に配していいかを決定するのに迷うのである。ただ極端と極端とを対照する時に、「美」に専らなものと、「真」に忠なるがために狭義の美の境界線の内外・・・ 寺田寅彦 「漫画と科学」
「美しき月夜」は一九一九年の夏アメリカのレーク・ジョウジという湖畔に暮したころに書かれた。この作品は、われわれの人生に災難という形であらわれる偶然の力につよく印象づけられたことがあって、それが題材にされた。それから数年後に書・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第三巻)」
・・・森の奥、廃れた見世物小屋、 二十七日 A、Lake George に立つ。 二十八日 金曜。いつ結婚するか、Aは good reputation を持たない等と話す。 二十九日 土曜、Aかえる。Grand Central ・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・ ――○――○レークジョージ ○メゾン ファシール、 ○チョプスイ。○アムステルダム ○岩本さんのところ。○バン コートランド。 ○オペラ。 ○芝居。 ○西村さんのところ。 〔欄外に〕插話。 講演会。・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
レーク・Gへ行く前友達と二人で買った洋傘をさし、銀鼠の透綾の着物を着、私はAと二人で、谷中から、日暮里、西尾町から、西ケ原の方まで歩き廻った。然し、実際、家が払底している。時には、間の悪さを堪え、新聞を見て、大崎まで行き、・・・ 宮本百合子 「思い出すこと」
・・・一九一九年八月二十六日レークジョージにて。 雑信 C先生。 其方は如何でございますか、此の紐育から二百哩程隔った湖畔は、近頃殆ど毎日の雨に降り籠められて居ります。或時は、俄に山・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・ 一九一九年八月二十五日〔東京市本郷区林町二一 中條精一郎宛 レーク・ジョージより〕 此間此山に登ろうとしてグランパと二人で出かけました、が、私の非常に大自慢な健脚は、どうかしてすっかり調子を狂わせてしまった。 三分の一・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・ 五月二十日 Lake George に立つ。 Lake George で。 ○店主に書いた手紙――佃がそれを自分に見せたとすれば悪意があるのでないことは明だ。彼のうちに自覚せずこのような文句を書かせるものがあるのか。伸子は、・・・ 宮本百合子 「「伸子」創作メモ(一)」
・・・ 机によって、彼が、カーキの粗い素朴なシャーツの広い肩を丸めながら物をよんで居るのを見る心持、其は私が且つて弟の後姿のいつの間にか青年に成って居るのを発見したときの心持通りである。 レークジョージの机の上で、かげろうが脱皮し・・・ 宮本百合子 「無題(二)」
出典:青空文庫