・・・“I know it is one not liable to take infection”とある。 頼られる人というのは、こう云うのだ、と思う。理解はあるが、地につき Matter of Fact な、自分の生活を支配されな・・・ 宮本百合子 「一九二三年冬」
・・・獄中にて西教に傾きたりといえば、彼コルシカ人の「ワンデツタ」に似たる我邦復讐の事、いま奈何におもうらん。されど其母殺したりという人は、安き心もあらぬなるべし。きょうは女郎花、桔梗など折来たりて、再び瓶にさしぬ。 二十五日、法科大学の学生・・・ 森鴎外 「みちの記」
・・・裾がまくれて白い小さな尻が、「ワン、ワン。」と吠えながら少しずつ下がっていった。「エヘエヘエヘエヘ。」 女の子は腹を波打たして笑い出した。二、三段ほど下りたときであった。突然、灸の尻は撃たれた鳥のように階段の下まで転った。「エヘ・・・ 横光利一 「赤い着物」
出典:青空文庫