・・・則ち説いて曰くと、これは疾翔大力さまが、爾迦夷上人のご懇請によって、直ちに説法をなされたと斯うじゃ。汝等審に諸の悪業を作ると。汝等というは、元来はわれわれ梟や鵄などに対して申さるるのじゃが、ご本意は梟にあるのじゃ、あとのご文の罪相を拝するに・・・ 宮沢賢治 「二十六夜」
・・・木食上人、ブレーク、アルトの歌手。それとこの家! 実にびっくりして凄いような気がしました。Yの父は三井の大したところの由。私はブリティシュ・ミューゼアムで、ブレークの絵を見たときの印象を思い出し、ああいう特殊な世界にあってもとにかく清澄きわ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・そこで不老上人に乞うて妃を元の姿に行ないかえしてもらうということが、話の本筋にはいってくる。妃の蘇りにとって障げとなったのは、妃の首の骨がないことであった。王子はその首の骨を取り返すために宮廷に行き、祖父の王の千人の妃の首を切って母妃の仇を・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫