・・・の関係者を起訴されるなら、それより幾千倍かの人々の不信と怒りを買っている公団の腐敗についての責任が明瞭にされることを欲します。日本の検察力を発揮しようとするならば、昨年初夏の怪死事件について、日本の検察として、明らかにするべき点を明らかにさ・・・ 宮本百合子 「「チャタレー夫人の恋人」の起訴につよく抗議する」
・・・ひろげてつかわれているらしい伊藤整の衝動という用語をもって表現すれば、歴史に内包するこのような新しい文学への潜在的な衝動こそ、かえって多くの人間的欲求をもつ文学者の頭脳に反射作用し、逆に日本の知性への不信を表明させもしているのだろうと思われ・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・ だいたい転向作家の問題は、勤労大衆とインテリゲンチアに対し、急進的分子に対する不信と軽蔑の気分を抱かせるために、たくみに利用されていると思う。大衆の進歩的な感情を少なからず幻滅させ、部分的にはそれへの嫌厭の感情にかえた。その責任は・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・そしてゴーリキイの話の中に織り交るすべての余計な不信実なものを切り去るのであった。又この「結構さん」は、極くありふれた云い方で、しかも野蛮な環境の中で暮している幼いゴーリキイの智慧の芽生えを刺戟するようなことを云った。例えば、彼は云う。・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫