・・・そして、代替りゆえ、思い切って店の内外を改装し、ネオンもつけて、派手に開店しなはれ、金はいくらでも出すと、随分乗気になってくれた。 名前は相変らずの「蝶柳」の上にサロンをつけて「サロン蝶柳」とし、蓄音器は新内、端唄など粋向きなのを掛け、・・・ 織田作之助 「夫婦善哉」
・・・東京のけつねうどんは不味うてたべられへん、大阪のほんまのけつねうどんをたべさしたるねんと、坂田は言い、照枝も両親が猪飼野でうどん屋をしていたから、随分乗気になった。照枝は東京の子供たちの歯切れの良い言葉がいかにも利溌な子供らしく聴えて以来、・・・ 織田作之助 「雪の夜」
・・・斉明天皇の御代に二艘の船に分乗して出掛けた一行が暴風に遭って一艘は南海の島に漂着して島人にひどい目に遭わされたとあり、もう一艘もまた大風のために見当ちがいの地点に吹きよせられたりしている。これは立派な颱風であったらしい。また仁明天皇の御代に・・・ 寺田寅彦 「颱風雑俎」
出典:青空文庫