・・・更にパリへ勉学に出る前後の窮乏。そして出てから、キュリーとのめぐり会い、その後の妻・母・科学者としての手いっぱいな彼女の生活の明け暮れ。そこを貫いて彼女に科学上の大きい業績をのこさせたもの、そこに私たちはこの世の中における並々ならぬものを見・・・ 宮本百合子 「知性の開眼」
・・・その現実の認識に向って青春のヒューマニティーが対決させられるとき、そこに湧く思いこそは、アルバイトして勉学している学生の日々をゆすぶっている日本の青春のひとすじの熱い思いにつながるのである。〔一九五〇年十二月〕・・・ 宮本百合子 「日本の青春」
・・・率直にいえば、そのような不便な境遇におかれる以前に、林はもっともっと基礎的な多くの勉学をプロレタリアの前衛として身につけておくべきであったろう。そしたら、不自由な読書の中からも掴むべき線は失わずに掴んだであろう。然し、これは、そうあったらよ・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・たださえ日本人は猿まねと軽蔑をまねいて、心ある日本人に苦しい思いを抱かせているその日本の学術精神から、この上基礎的勉学を奪い、応用、模倣の末端ばかりを仕込んだら、次の世代の日本人は、世界の学問水準からみたら、命令を理解するに足りるだけの程度・・・ 宮本百合子 「平和をわれらに」
・・・学校教育というものが与える最もよいことは、そのひとが一生自分で勉強をつづけてゆけるために必要な勉学というものの「方法」を身につけさせるという点になければならないのに、きょうでは先生たちさえも、まだそこに重点をおいていいのだという自信をもって・・・ 宮本百合子 「若い人たちの意志」
・・・サラリーマンとなる過程として学生生活をしている人の方が数からいえば当然学者になろうとして勉学している人より多いわけである。サラリーマンの生活の下らない、希望のなさ、その日暮しの味気なさについて流行歌まであるのだが、若いサラリーマンたちが、自・・・ 宮本百合子 「若き時代の道」
出典:青空文庫