・・・このようにして記載的博物学の系統が芽を出し始める。 分類は精細にすればするほど多岐になって、結局分類しないと同様になるべきはずのものである。しかしこの迷理を救うものは「方則」である。皮相的には全く無関係な知識の間の隔壁が破れて二つのもの・・・ 寺田寅彦 「言語と道具」
・・・ これとは関係はないが、次の頁の脚註に、中世の博物学書に記述されたウニコール捕獲法というのが書いてある。純潔な処女をこの一角の怪獣の棲家へ送り込むと、ウニコールがすっかり大人しくなって処女の胸に頭をすりつけて来る。そこを猟師がつかまえる・・・ 寺田寅彦 「マルコポロから」
・・・第三門に天文、数学、博物学、医学、兵学、農学。そして、第四門に文学美術、音楽。第五門、編年、家記、伝記、考証、地理。第六門に叢書、類書等を総括している。漢書之部も、第一門が四書、五経や孝経、儒家、諸子、西教等を包括している。 今日の図書・・・ 宮本百合子 「蠹魚」
・・・やっと一人、第一部からの中心人物である、プリスィプキンが、その見本に、博物学教室で飼われている。 五十年後のソヴェト社会では、重大事件がすべてラジオで投票決議されるということになっている。清潔な社会主義社会にとって有毒な官僚主義、俗人趣・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
出典:青空文庫