・・・即ち、ブルジョアジーを打倒し、収奪し、武装解除するために、プロレタリアを武装させること。プロレタリアートは、たゞブルジョアジーを武装解除した後にのみ、その世界史的見地に叛くことなく、あらゆる武器を塵芥の山に投げ棄てることが出来る。そしてプロ・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・本質的には、底をついた植民地的収奪の生活にうんざりしているその気持が、新聞記事の調子を通して、組合だの、前衛組織だのへ向って流されてゆく。めいめいの現実につながった人民的な事件であるそれらの事柄さえも「また例の」と社会面的に、皮相的にみられ・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ 農村のはてしない収奪と資本主義の高利貸搾取と二重の重圧によって祖先伝来の樹木さえ失い「樹のない村」となった山間のK部落の自作農らが、更に戦争の軍事費負担を加重される。軍部がその部落に二百円の強制献金を割り当てた。自作農らはついに共同墓・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 満州侵略戦争とそのためのひどい収奪のことも、その戦争の命令者である〔二字伏字〕のことも、人民は見ざる、聞かざる、云わざる、奴隷として搾られ、そして死ねというわけである。これは理性ある人間にとって不可能なことである。憤りと憎悪とが凍った・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・それらは、侵略国日本が中国人民と中共からかすめとった収奪物でなくて何だろう。注意ぶかい読者には、一人の筆者が、ある場面では中共の農業政策に関して官僚報告めいた文書を発表し、他の場面では中共の文化啓蒙運動・文学政策についてかき、またちがった婦・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・満蒙奥地の住民のそのような怨み、憎悪が開拓団に向けられた理由こそは、関東軍が絶対命令で実行させつづけた住民からの収奪であったのに。きょうになれば、著者の耳目にこのいきさつもつたわっていよう。 とるものもとりあえず新京を脱出した八月九日と・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・人民生活の収奪のひどさに苦しむ一般の感情に乗じて、きょうの日本のファシストは左からぐるっと右へまわった愛国主義の鼓舞、民族主義、内閣打倒を思っている。 丹羽文雄氏は、作家として戦争に反対する立場を社会に向って明らかにした。したがって作家・・・ 宮本百合子 「作家は戦争挑発とたたかう」
・・・ 戦時中農民を主題として書いた作家が戦争遂行のための農村収奪の方向に協力するばかりで、真に農村の人々の心にはいって作品を書かなかったという悲劇を、本年はまったく新しい人々のペンによって、血によごれていない人々のペンによって語られなければ・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・において、日本資本主義の植民地的搾取の真相と、日本海軍がどのように人民収奪を援助する任務をもっているかということを、生産面においてくまなく描こうとした。「不在地主」「沼尻村」などは、農民の解放はプロレタリアートの闘争との結合なしには実現され・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・前半の旱魃の状況、その対策、日本人官憲の収奪の詳細は、百枚からあとにあらわれている。蒙古における敗戦前の日本人官憲の混乱、主人公の不安な感情をテーマとする人間の歴史的像のなかへ、もっと集約して折りたたまるべきである。その背景とし、侵略者とし・・・ 宮本百合子 「予選通過作品選評」
出典:青空文庫