・・・たちまちみんなはいろいろな国語で一ぺんにそれをうたいました。そのとき俄かに大きな音がして私たちは水に落ちもう渦に入ったと思いながらしっかりこの人たちをだいてそれからぼうっとしたと思ったらもうここへ来ていたのです。この方たちのお母さんは一昨年・・・ 宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
・・・算術帳とだって国語帳とだって雑作キッコは思いながらそっと帳面をみんな出しました。そして算術帳国語帳理科帳とみんな書きつけました。すると鉛筆はまだキッコが手もうごかさないうちにじつに早くじつに立派にそれを書いてしまうのでした。キッコはもう・・・ 宮沢賢治 「みじかい木ぺん」
日本語と云うものが、地球上、余り狭小な部分にのみ通用する国語であると云うことは、文筆に携る者にとって、功利的に考えれば、第一、損な立場であると思います。 使用上、所謂、敬語、階級的な感情、観念を現す差別の多いこと、女の・・・ 宮本百合子 「芸術家と国語」
・・・みんなは、みんなの母国語で歌った。が、モスクワの初冬の空気をツン裂いて、「ああインターナショナル」と歌われたとき、あらゆる国語の差別は消え全く一団の燃える声となって八方に響き渡った。 第二回革命作家国際会議がモスクワでもたれず、・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
序論 三つの段階 新聞・通信・ラジオ 出版 雑誌 書籍 教育 国字・国語 宗教 科学 文学 映画・演劇 音楽 ・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・日本というものの独自性の或る面、外来語でも何でもいつしか自国語にしてしまって、便利なように訛りさえして、日常の便利につかうところに、寧ろ示されてさえいると思えるが如何だろう。 文章のわかりやすさ、無制限に数の多い漢字を整理し、複雑な仮名・・・ 宮本百合子 「今日の文章」
・・・堺先生と云って国語の先生であった。この先生も、曇りない真実のある眼で、国語の時間は張合があった。何をどうとも云えないが、面白いという思いがその先生と自分との間を交流するようで、私はいつも謹んで一生懸命であった。 五年生になって、千葉先生・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・国語別 第一年 第四年 都会 村 都会 村ロシア 48.5 39.3 49.6 29.2ウクライナ 49.3 41.8 43.8 18.6白露 49.・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・ ヨーロッパの国々は、互に国境を地つづきの山や河、森の間にとなりあわせ、互の国語に共通な語源をもち、今日までの歴史のなかではヨーロッパのどの国もとなりの国におこる事件に対して、無関係ではあり得なかった。したがって、第一次大戦の前後も、こ・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・ドイツ人にも汎く交際を求めて見たが、丁度日本人に日本の国語を系統的に知った人が少いと同じ事で、ドイツ人もドイツ語に精通してはいない。それから日本人の書いたドイツ文や、日本人のドイツ語から訳した国文を渉猟して見たが、どれもどれも誤謬だらけであ・・・ 森鴎外 「二人の友」
出典:青空文庫