・・・ 五日 ダディよりの報知、帰ると決心する。 六日 買物、電報を打つ切手をたのむ。 青木さんの来た日曜。 此日に岩本、森田氏と来て、自分に日記をくれる。 十八日 立つ。夜 ワシン・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・ 逝去の報知を手にした時、自分の心に衝上って来た、驚き竦え、考えに沈んだ心持は、恐らく、これ等の見えない原因を背後に持った私自身へのアラームであったのだと思われます。あれ程健康そうに見え、自分の良人に比して、大した年長でも在られない博士・・・ 宮本百合子 「偶感一語」
・・・ 十一月二十五日 十二月三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より〕 十二月三日 今日は珍らしい報知を致します。泰子が昨夜の十二時から今日の昼までたっぷり十二時間眠ってうち中をアッと言わせました、何年にもないことです。・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 間もなく、去る一月六日から四日間、『報知新聞』の学芸欄に「ジイドの笑いと涙」という題で、『プラウダ』が社説として発表したジイドのソヴェト旅行記批判が、山村房次氏によって訳載された。 その文章は何月何日の『プラウダ』に出たものであっ・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・ 新聞 新聞は今、『時事』と『日日』と『報知』と、それに芝居のことを知りたいために『都』と、都合四つとっております。それらの紙面で先ず目をつけるのは社会欄です。社会記事から創作の材料を得たことは一度もありません・・・ 宮本百合子 「身辺打明けの記」
・・・ 国男自動車で藤沢を通り倉知一族と帰京、基ちゃん報知に来てくれる。自分雨をおかし、夜、二人で、林町に行きよろこぶ。 自転車に日比谷でぶつかり、足袋裸足となる。 十一日 大学のかえりA林町により、歩き青山に戻る。石井に五十・・・ 宮本百合子 「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」
・・・と呼ばれる昔の離宮のある公園町の下宿に暮していて、その報知の電報をうけとった。 あとからその前後の模様を書いた手紙が来たが、それは父が書いた手紙であった。丁度そのころの日本の若い精神がその青春の嵐とともに直面していた歴史的な波瀾だの、そ・・・ 宮本百合子 「父の手紙」
・・・それより前に、ゴーリキイが重病であるという記事を新聞で読み、毎朝新聞を開く毎にその後の報知が心にかかっていた。新しい憲法草案公表のことが報道された時、私はその事から動かされた自分の感情の裡に、ゴーリキイが自分の生涯の終りに於てこの輝かしい日・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・それより前に、ゴーリキイが重病であるという記事を新聞で読み、毎朝新聞を開くごとにその後の報知が心にかかっていた。新しい憲法草案公表のことが、報道された時、私はその事から動かされた自分の感情のうちに、ゴーリキイが自分の生涯の終りに於てこの輝か・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・公爵Hが結婚した報知は十三のマリアの手からその新聞を「取り落されず、反対にそれは私にはりついた。」「おお私は何を読んだのでしょう! 私は何を読んだのでしょう。おおこの苦しさ。」「今日から私はあの人に関するお祈を変える。」「書けば書くほど書き・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
出典:青空文庫