・・・産業の合理化で男の労働者数は減少して行っている時になお、女の数は少しずつながら増大の線をたどって来ていることは女の労力が男に代り得て、しかもやすいという事実を雄弁に語っているのではなくて、何であろう。 女の性の自然と社会事情から必然とさ・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・特に、生活資金の二百円削減は、日常生活に甚大に響き、物価高、米の配給遅延の悪条件、失業の増大等、どんな婦人の心にも、このままではやってゆけない切迫感を湧きたたせている。婦人立候補者の大部分は「政治と台所の直結」といい「女の問題は女で」といい・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・ ソヴェト同盟の耕地に一台トラクターが運転されることは、直接集団化された農民に何割かの確実な収益増大を約束するばかりではない。トラクターと一緒に文化がやって来ている。「ギガント」から一時間ばかり汽車にのっかって行くと、「ウェルブリュ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ レーニンはソヴェト同盟が重工業を振興させ、労働の生産力・技術を増大させることによって、実力的にヨーロッパ資本主義国を追いぬかなければならないという点に、絶えず全ソヴェトのプロレタリアートの注意を引きつけて来た。五ヵ年計画の基礎はこの線・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・一人一人のサークル員が婦人サークル員増大の階級的価値を会得し、その獲得のために行動するよう、サークルの責任者は話をすすめて行かなければならないのだ。『文学新聞』『働く婦人』などが、この活動のために十分利用されるだろう。 処女会、御用・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・これらすべては政権の買弁的性質の増大とともに一般の批判にさらされる立場におかれている。日本の人民は今日においてはじめて憲法に規定されている言論の自由と良心の自由とを行動のうえに発揮する必要にせまられている。戦争挑発と日本の軍国主義の再燃にた・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・ そして、恋愛の歌の如何にも尠いこと、親として子を思う歌に父親としての歌の増大していること、又子が親を憐んで詠んでいる歌の多いことも、現代の実相をつたえる傾向としてあげられている。 次ぎに目に着くことは、幼い児を持っている若い妻の死・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・吉原の公娼制度が廃止されることは、健全な結婚の可能性が我々の生きる今日の社会条件の中に増大されたのではなくて、多額納税議員をもその中から出している女郎屋の楼主たちが、昨今の情勢で営業税その他を課せられてまでの経営は不利と認めたからである。・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・民法が改正されて、結婚の自由も、財産に対する権利も、母親の親権も増大しました。しかし文字の上での権利が増大したとしても、自由が与えられたとしても、結婚して一家を持ってゆくだけの収入が若い二人に確保されていない時、住むに家のないとき、親たちの・・・ 宮本百合子 「自覚について」
・・・購買力が高まり、読書する人の層が全く従来の範囲から溢れて来ていることも明白で、そのことはとりも直さず、自分の腕で、自分でつかっていい金を稼ぐ若い男女の増大を示している。そしてこのことは、若い女性の生活にある種々の問題が、これまでより一層めい・・・ 宮本百合子 「女性の書く本」
出典:青空文庫