・・・を忍び、古代の縄墨をもって糺すときは、父子君臣、夫婦長幼の大倫も、あるいは明を失して危きが如くなるも、なおかつ一世を瞞着して得々横行すべきほどの、この有力なる開進風潮の中にいながら、学校教育の一局部を変革して、もって現在の世態を左右せんと欲・・・ 福沢諭吉 「徳育如何」
・・・「イデェオロギーが情緒感覚の生活にまで泌みわたって、これを支配し変革する」ことがなければプロレタリア文学は真の芸術であり得ないという片上伸の主張とそのためのたたかいを著者は、同情と批判をもって跡づけている。 この初期の二つの評論にはっき・・・ 宮本百合子 「巖の花」
・・・現実の社会悪ととりくんで、悪の中から一つ一つと、社会と人間のよりよい変革のための方向をひき出してゆく、善意の実感の美しい生きた力を欠いていることの証拠です。これは古風な正義派の感覚ではありません。 一般の人々が、毎日の生活の中にこれほど・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ーリーの心持をプロレタリアとして、またアメリカ帝国主義の下で有色人種労働者として二重の搾取と抑圧とに闘っている日本人移民労働者としてのチャーリーの心持をどのくらい高め、鼓舞し、生きてゆく日常の世界観を変革したかというようないきいきした人間的・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 革命的小市民というのは、社会の現状に一応の批判をもって、ある程度の変革に参加するけれども、労働者階級の勝利と社会主義、共産主義への見とおしに生きるには到っていない人々を意味する。私はそういう種類の作家ではない。進行中の長篇は起伏を通じ・・・ 宮本百合子 「河上氏に答える」
・・・ 七月の党大会後、ラップは、これまでラップが行って来た文学研究会指導方針に、大変革を企てた。 ソヴェトのようなところでさえも、文学研究会は、いつしか文学青年の巣になる危険が顕著であった。研究会員は、勿論職場にある若い労働者が大多数を・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・との間には、二〇年余のへだたりがあり、その時間の距離は、作者の生活をその環境とともに内外から変革させている。「伸子」をかいたときの作者は、全く自然発生にテーマにとりくんだのだった。女にとって苦しい日本の社会の伝統に対して示している抵抗と、そ・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・は、地球上もっとも大きい人口をもつ中華人民共和国の誕生によって、日本人民をこめるアジアの未来の運命の方向が決定的に変革された人類史上のできごとである。そういう内容のことがらを、政府の労働者階級抑圧のためのねつ造が大きく作用している下山、三鷹・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ところが行政機構の変革をチャンスとして政府は従来の用紙割当委員会さえも無視して、ただ一人の長官が決定権をもつ用紙割当事務庁というものを創設しようとしている。世論は当然反対し、ひとまず現在の内閣直属の用紙割当委員会の自主的権限を認めるところま・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・定めは、種々の場合に変革をうけ、そこには苛酷な制裁や、意外の寛大があった。集団して生きる部族の政治は、ひとかたまりに生きてゆくやりかた、としてはじまって、やがて階級分化を行った人の集団と集団間のいきさつとなっていった。生きてゆくやりかた、の・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
出典:青空文庫