・・・大都市の街路は夜毎に世界の他の何処にも又と見られないような展覧会を示して居る。これら総てのことあるに反して、普通の英国人は自分の国の徳義上の優越を授けられたものと考える。そして、他のひと人に迷惑な思いをさせて、それを宣言する機会を失うまいと・・・ 宮本百合子 「無題(四)」
・・・ 英蘭銀行を中軸とする商業地帯は午後五時以後一時に暗く貧血して夜毎の仮死状態に入る。 が、諸君! ロンドンの勤労者諸君! 諸君はロンドン地下電車に積み込まれて疾走しつつ、頭の上にどんなロンドン市地図が展開しているか果して知っているか・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・軍人勅諭を日毎夜毎暗誦させて、それが出来ないとビンタを食わしていた将校たちは、遠い島々で、戦局が絶望になるとさまざまの口実をこしらえて飛行機で本国に逃げ帰った。そして戦功によって立身をした。「聖戦」といわれた戦争の本質は終って見れば虚偽の侵・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫