・・・それは一九四九年度の調査のために、毎日新聞は一九四七年度の調査にあらわれた特に読書率の低い地方を対象としたということである。大都市よりも農村に。組織労働者の多いところより、全体として自覚ある労働者のすくない地方、政治的覚醒の著しいと見られて・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・各大都市の人口は配給米をもって命をつないでいる。その米のストックが乏しいところへ、農民が強制買上供出反対で、米俵をつんで東京、大阪その他の駅に入るべき貨車が、きょうも、明日もと空っぽであるとき、大都市の住民の不安はいかばかりであろうか。重大・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
・・・それでも、紐育のような大都市では、大抵処々にある公園の子供遊場を中心にして、児童に戸外遊戯をさせるので、母親は、転がろうが辷ろうが安全な砂場、芝原に子供を自由に放して、自分は自分の為すべきことに没頭出来る設備になっています。 丁度、朝十・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
一 婦人の生活が頽廃しているということがいわれはじめて、暫くになった。性的な面で、特に大都市の婦女子の生活が不規則になり、崩れているということについて注目されて来ている。それは私たちが現に目撃して・・・ 宮本百合子 「人間の道義」
・・・新聞は、大都市における婦女子の犯罪が日ましに増大しつつあることを警告しています。 私たち日本の婦人は、これらすべての軍事を決して他人事として感じておりません。新しい日本が、より人間らしい世界正義の道に立って進んでゆくために、苦難を経験し・・・ 宮本百合子 「婦人民主クラブ趣意書」
・・・をくまなく観察すると同時に、近代大都市の只中にある様々な「日蔭の町」へ、その社会感情をくばらなければならなかった。この作品で、都会が農村に対する一般的な破壊力としてだけ立ち現れる旧套にとどまったのは遺憾である。少くとも作者の洞察の前では、水・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・最早絶えることない特種の野卑な醜聞は、嘲弄者に潤沢な機会を与える。大都市の街路は夜毎に世界の他の何処にも又と見られないような展覧会を示して居る。これら総てのことあるに反して、普通の英国人は自分の国の徳義上の優越を授けられたものと考える。そし・・・ 宮本百合子 「無題(四)」
・・・けれども、今日大都市が道徳的な苦痛として眺めている街の女の氾濫、その大部分が、見た眼にも全く素人である若い娘達の、生活に崩れた姿はどこから来ているのだろうか、これは決して簡単な道徳問題ではない。 女子挺身隊は四十七万二千五百七十三人とい・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫