・・・を一冊とるだけにさえうるさく妨害しているのであった。「……指導は誰がやっているんですか」 やがて清水が煙草に火をつけて訊いた。「誰が指導するということはない、編輯会議でするんです」「しかし、指導しないでこんなに高度になって来・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・中国の人民が泥と血の中から立ち上って安定ある民主社会を建設しようと未曾有の奮闘をつづけているその切実な努力を妨害するな、という世界の声の道徳的価値が理解されるはずである。〔一九五一年一月〕・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・「われわれの規律は、ただあの非無産階級的な、革命を妨害するものどもを束縛するだけで、それはちょうど游泳術が游泳する人にたいして、ただ彼が溺死しないように束縛するだけであるのと同じ」である、と。 最後に、ジダーノフの報告のうちに、警告とし・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・衝撃隊員は一人のこさずソヴェト式の善玉。妨害分子は一人のこさず悪玉ぞろい。その二つの型の間に、機械的なマルクシズム応用の対立があるだけで、真のボルシェビキらしい具体的な悪玉への働きかけや、職場の動揺している労働者へのよびかけ、親切な導きが一・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ これまでだって、ソヴェトのプロレタリアートは幾度か国際的な陰謀によって生産妨害を受け、それを撃退して来た。現に一九三〇年の夏にもイギリスの金でやられていたソヴェト漁業反革命運動の一つがバレた。引きつづいて、この産業党の大陰謀だ。フラン・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・いま、わたしたちが、中国人民の勝利に対して衷心からのよろこびと友誼の感情を語るにつけ、日本の帝国主義が、中国解放のために最悪の妨害的存在以外の何ものでもなかったという事実を思いかえさずにはいられません。しかし、中国の人々は人民たる真情によっ・・・ 宮本百合子 「宋慶齢への手紙」
・・・本調査を妨害すれば、誰でも逮捕するだろうといった。この時私は顔色が変った。そうなったらどうしよう。白を白だといって偽証罪で逮捕されるなら、俺の白は誰が証言するだろう。そう考えると気持が弱くなってきた、」と。 被告たちは、このような精神的・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ 同志小林は確固たる国際プロレタリアートの観点に立って今日の情勢を分析し、そこからプロレタリアートの課題を導き出し、革命的任務を遂行するためには、それを妨害するあらゆる小ブルジョア的日和見主義と闘い、それを克服することを緊急事とした。特・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・実際こっちでは、治安妨害とか、風俗壊乱とか云う名目の下に、そんな人を羅致した実例を見たことがない。しかしこう云うことを洗立をして見た所が、確とした結果を得ることはむずかしくはあるまいか。それは人間の力の及ばぬ事ではあるまいか。若しそうだと、・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・金槌の音は三日間患者たちの安静を妨害した。一日の混乱は半カ月の静養を破壊する。患者たちの体温表は狂い出した。 しかし、この肺臓と心臓との戦いはまだ続いた。既に金網をもって防戦されたことを知った心臓は、風上から麦藁を燻べて肺臓めがけて吹き・・・ 横光利一 「花園の思想」
出典:青空文庫