・・・おまけに大学者で、学習院から一高、帝大とすすんで、ドイツ語フランス語、いやもう、おっそろしい、何が何だか秋ちゃんに言わせるとまるで神様みたいな人で、しかし、それもまた、まんざら皆うそではないらしく、他のひとから聞いても、大谷男爵の次男で、有・・・ 太宰治 「ヴィヨンの妻」
・・・ このような時代においてもしある科学の全般にわたって間口も広く奥行も深く該博深遠な知識をもった学者があって、それが学習者を指導し各部分の専門的研究者や応用家の相談相手になって行くとすれば実にこの上もない事である。しかしそのような権威は今・・・ 寺田寅彦 「科学上における権威の価値と弊害」
・・・ こんな空想はどうでもよい事にして、平凡な実際問題として見た時にも、数学の学習と語学の学習とは方法の上でかなり似通った要訣があるようである。 語学を修得するにまず単語を覚え文法を覚えなければならない。しかしただそれを一通り理解し暗記・・・ 寺田寅彦 「数学と語学」
・・・この人はたしか学習院の先生かなんかしていられるということだ。くわしくは知らぬ。 そのうちに僕は中学へはいったが、途中でよしてしまって、予備門へはいる準備のため駿河台にそのころあった成立学舎へはいった。そのころの友人にはだいぶえらくなった・・・ 夏目漱石 「僕の昔」
――大正三年十一月二十五日学習院輔仁会において述―― 私は今日初めてこの学習院というものの中に這入りました。もっとも以前から学習院は多分この見当だろうぐらいに考えていたには相違ありませんが、はっきりとは存じま・・・ 夏目漱石 「私の個人主義」
・・・幕末の、進歩的な藩に置かれた藩学校は、当時表面上は幕府法律で禁じられていた英、蘭学の学習を秘密に行ったり、「万国」の事情に精通しようとする努力を示した。それは、たしかに幕府政治の無力を知り、封建制におしひしがれている社会生活について沈黙して・・・ 宮本百合子 「新しいアカデミアを」
・・・それから学習そのものを楽にたのしんでさせようという程度がすぎて、自立的な児童の探求心がのばされるよりもさきにあんまりたやすく解決が与えられすぎるということにもふれていました。学校教育の方式の中に当然入りこんできているキャナライゼーションとマ・・・ 宮本百合子 「アメリカ文化の問題」
・・・インフレーションやアルバイトときりはなして、今日のわたしたちの学習生活が存在しないとおり、もし、今日の若い人々が経済事情をけとばしたような抽象的な学生生活を語るなら、その虚構の観念性を、誰よりも先ず若い人たち自身が軽蔑するであろう。 先・・・ 宮本百合子 「生きつつある自意識」
・・・委員制によってつくられた作品で、日本の小学校がどのように児童の衛生、学習のために注意を払っているかということを映画化したものであると説明された。主に映されているのは芝高輪の極めてモダーンな小学校である。飯田氏は、一ヵ年間の苦心になる作品であ・・・ 宮本百合子 「映画の語る現実」
・・・そして、男の子を貰い、学習院に入学させている。「あすこは父兄が、そろっているから」という理由だそうである。日本のニヒリストとして、一部の人々から崇敬されているある文学者も、その貰った息子は学習院へ通わしている。 都内の小学校の生活は、街・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
出典:青空文庫