・・・家の前には広場の様な処が有って、野生の草花が咲いたり、家禽などが群れて居る。 この村人の育うものは、鳥では一番に鶏、次が七面鳥、家鴨などはまれに見るもので、一軒の家に二三匹ずつ居る大小の猫は、此等の家禽を追いまわし、自分自身は犬と云う大・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・ 農婦はその足もとに大きな手籠を置き家禽を地上に並べている。家禽は両脚を縛られたまま、赤い鶏冠をかしげて目をぎョろぎョろさしている。 彼らは感じのなさそうな顔のぼんやりしたふうで、買い手の値ぶみを聞いて、売り価を維持している。あるい・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
・・・家とか道具とか家畜とか家禽とか、特に男女の人物とかがそれである。伝説では、殉死の習慣を廃するために埴輪人形を立て始めたということになっているが、その真偽はわからないにしても、とにかく殉死と同じように、葬られる死者を慰めようとする意図に基づい・・・ 和辻哲郎 「人物埴輪の眼」
出典:青空文庫