・・・スカンジナヴィア文学の専攻家でブランデスやハムスンを日本に紹介した宮原晃一郎氏が、故郷である北海道の新聞へ何か作品をということで書き出したものだった。このたび思いがけなく新聞切抜きを発見することができたのも、宮原氏の未亡人の協力によった。・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
・・・数日後には専攻しているフランス文学研究のために渡仏しようとしている或る若い女のひとにあったら、その友達に大変私の書くものを好いて皆よんでいるというひとがあるという話になった。そう云われて嬉しくないものはないと思う。すると、それにつづけて「そ・・・ 宮本百合子 「今日の読者の性格」
わたしたちの時代には、学校がそこにあった関係から、お茶の水と呼んでいた附属高女の専攻科の方が見えて、雑誌に何かかくようにと云われた。いまその原稿をかきはじめている、わたしの心持には複雑ないろいろの思いがある。そして、そうい・・・ 宮本百合子 「歳月」
・・・ 科学と探偵小説 木々高太郎氏は、執筆する探偵小説によって賞をも得たことは周知であり、パヴロフの条件反射を専攻されている医博であることを知らぬものはない。同氏の『夜の翼』という探偵小説集が出ていて、それを読み、・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・ 二十一歳の私がアメリカあたりで噂によれば洗濯屋だったとか皿洗いだったとか云われている東洋学専攻の男と結婚したり、その生活に苦しんで何年間も作品らしいものも書けずにいたようなことも、先生の目には又もや女がそこで足をとられた姿として、いく・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・ 千鶴子の国は西の方で、そこの女学校の専門部で国文を専攻し、暫く或る有名なこれも物を書く人の助手をした後、その人のすすめもあり上京したのだそうであった。まだ一年と少しにしか東京に来てならず、×さんと知ったのもその後のことだと云った。・・・ 宮本百合子 「沈丁花」
・・・ 江戸っ子である漱石は、若いころ、よく寄席の話をきいたそうだ。専攻は人も知るとおりイギリス文学であった。それらの影響もあってか、漱石の文章は、主題の論理的な追求にかかわらず、一種のゆるやかに流れる話術をもっている。この講演にもその特色が・・・ 宮本百合子 「日本の青春」
・・・ お行儀を教えたり、根気のいる初等学科を教えたりすることは、皆、児童心理を専攻した家庭教師にまかされています。ロザリーと子供は、互から愉快ばかりを感じ合うものとして生活したのです。 ところが、長男が小学に入る頃から、先ず良人のハリが・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・をラジオで知るそのこともよろこびをもってかかれているのである。 今日私たちの身近にも、専門は科学であるが、文学方面の作品をもかいているという何人かの人達がある。例えばパヴロフの「条件反射」を専攻した林髞氏は木々高太郎氏であり、電気特許事・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・ 湯浅さんは先日チェホフを訳してもうじき新潮社から出るでしょうが文学を専攻するつもりのようです。私も向うの文学も劇も、亦こっちだと上演禁止になるような映画などを見て来たいと思ってます。私はそれから子供の世界にかなり興味を持っています。革・・・ 宮本百合子 「ロシヤに行く心」
出典:青空文庫