・・・と痛感する佐々木をこめて一群の日本人が集まって個人的な問題を中心として議論したり、居住の地域を問題にしたり、宿主とケンカしたり、引っ越したり、一人の仲間が引っ越すとその仲間が遠い郊外の引越先まで行って見て、古い党員の下宿主からリンゴを貰って・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・少くとも作者の洞察の前では、水道を切られている日蔭の町の居住者達の存在が社会的相関的に見とおされている上で、農村の蹂躙が語られるべき現代であると思う。 一つの宿題 舟橋聖一氏の「新胎」「新・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・黄葉した植込みの奥のもっと黄色い柱列を入って行って、旅券の後に添付されてるSSSL居住許可証を返して来た。桃色の大判用紙をはがすとき、掛りの男は紙を旅券につけていた赤い封蝋をこわした。封蝋はポロポロ砕け、樺の事務机の上にこぼれた。日本女は今・・・ 宮本百合子 「モスクワの辻馬車」
・・・足の下には敷かぬ絨毯を前景に拡げ、背後の蔦とともに綺麗に並んだトインビー・ホール居住人――数ヵ月の社会事業見習期間を終った「社会事業家」が監督を中央に記念撮影している。 樫の腰羽目をもった天井の高い室がある。トインビーの等身大肖像画が壁・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫