・・・ しかるに六蔵はなかなかの腕白者で、いたずらをするときはずいぶん人を驚かすことがあるのです。山登りがじょうずで、城山を駆け回るなどまるで平地を歩くように、道のあるところ無い所、サッサと飛ぶのです。ですからこれまでも、田口の者が六蔵はどこ・・・ 国木田独歩 「春の鳥」
・・・話のみを聞いただけでは、それらの人の心の中がどんなものであったろうかということは、先ず殆ど想像出来ぬのでありまするが、そのウィンパーの記したものによりますると、その時夕方六時頃です、ペーテル一族の者は山登りに馴れている人ですが、その一人がふ・・・ 幸田露伴 「幻談」
・・・俳句の本、山登りの本、唯物論的弁証法の本、ゴルフの本、なんでも無いものはないように見える。ところが、何かしらある些細な題目についてやや確実詳細な具体的知識を得たいと思って参考書を捜すとなってみると、さて、なかなか容易に自分の要求に適応する本・・・ 寺田寅彦 「錯覚数題」
出典:青空文庫