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・・・夕日さす景色も淋し松たてる岡部の里と、為相の詠めるあたりもこの原つづきなり。よっておもうに、岡部の里をよめる歌には松をよめるが多きようなり。深谷に着きて汽車に打乗り、鴻巣にいたりて汽車を棄て、人力車を走らせて西吉見の百穴に人間の古をしのび、・・・
幸田露伴
「知々夫紀行」
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・・・ 二十五日 ひどい雨、英男朝四時頃、岡部氏に行きがけ青山に原稿を届けてくれる。A一緒にかえる。自分夕方Aとかえり、夜原稿が不満なのでなおす。 二十六日 古川氏の原稿をしまう。とりに来ず。違約か。午後縫いものを始む。・・・
宮本百合子
「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」