引(き)去る(ひきさる)
の例文・使い方・用例・文例(2)
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・・・この夜半の世界から犬の遠吠を引き去ると動いているものは一つもない。吾家が海の底へ沈んだと思うくらい静かになる。静まらぬは吾心のみである。吾心のみはこの静かな中から何事かを予期しつつある。されどもその何事なるかは寸分の観念だにない。性の知れぬ・・・
夏目漱石
「琴のそら音」
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・・・ 蕪村の句の理想と思しきものを挙ぐれば河童の恋する宿や夏の月湖へ富士を戻すや五月雨名月や兎のわたる諏訪の湖指南車を胡地に引き去る霞かな滝口に燈を呼ぶ声や春の雨白梅や墨芳ばしき鴻臚館宗鑑に葛水たまふ大臣かな・・・
正岡子規
「俳人蕪村」
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