・・・そこに共通な社会的地盤の上に立つ男女の純潔さがあり愛情の純潔さえも一層強固に保たれてゆく可能があると思う。 愛するものがあってもなくても、人間一人として、一人の女として、また一人の男として、どういう生き方をつらぬきたいと願っているか。そ・・・ 宮本百合子 「社会生活の純潔性」
・・・ その大きい経験で、インベルの才能がどのように鞏固にされ、拡大されただろう。早く彼女の最近の収穫を読みたいと思う。そこには全ソヴェトの善戦の誇りがあるだろう。真の勝利とは、どういうものであるかということを鳴りひびかせている数行があるだろ・・・ 宮本百合子 「新世界の富」
・・・併し独立した社会人としての家庭の各員が共同の連帯責任を以て、社会人としての義務をお互に果して行く家庭は勿論鞏固に発達している。が、普通の概念に於ける家庭というものはない。つまり我々が眼にしている普通の家庭というものは、家長はおやじ。それでお・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・それらの引用文と引用文との間の接続が強固な思索のリズムで行っていないところがあるように思えるし、著者が或る結論に到達した推論の過程なども、小冊子では出来るだけ要約された形で表現された方が読者の理解に便宜であるとも思えた。 この「社会運動・・・ 宮本百合子 「新島繁著『社会運動思想史』書評」
・・・然しながら、この頽廃的で奢侈な公爵夫人との恋愛とその感化によって恐るべき浪費をし、益々王党派、カソリック的傾向を強固にされながら、而も一方においてはその金のやりくりともぎ取りのため、壮年に達したバルザックが益々創作に身をうちこみ、益々刻薄な・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・今委しくここに触れることは私の力にも及ばないことであるが、運動全体が非常に急速に高まり、非常に急速に退いたことは、上述の集団生活が人間性をより強固なものに陶冶する為に必要な条件と時間とを与えなかったように見える。強い中心的な磁力が失われたら・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・ 極言すれば、理想を高唱するものも、それに鼓舞されて一躍新生涯を創始しようとする者も、またはそれを傍観するものも、共に、貧弱な沈潜力の所有者であるようにさえ感ぜられる。 強固に、深刻に人生の意識、人類の内容を考察する者が、どうしてよ・・・ 宮本百合子 「深く静に各自の路を見出せ」
・・・『働く婦人』は、このような強固な日本プロレタリア文化活動の革命的な発展の基礎の上に立って発刊されるものだ。百五十一万人の婦人労働者をふくむ日本のプロレタリアート、農民、小市民の婦人大衆に向って、彼女に真の解放と幸福とを与えるプロレタリア・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・対立する力に対して、人間の理性の到達点を静にしかし強固に守りとおし、その任務を歴史の推進のために光栄あるものと感じ得る知識人らしい知識人さえも、日本においては数が少いのである。 無理がとおれば道理がひっこむ、といういろは歌留多の悲しい昔・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・彼らは青春期の不養生によって、人間としての素質を鞏固ならしめることができませんでした。頭と心臓がすぐに硬くなりました。人間の成長がすぐ止まりました。彼らの内に萌え出た多くの芽は芽の内に枯れてしまいました。そこへ行くと夏目先生はやはり偉かった・・・ 和辻哲郎 「すべての芽を培え」
出典:青空文庫