・・・一八六四年にドイツ、オーストリアの二強国の圧迫するところとなり、その要求を拒みし結果、ついに開戦の不幸を見、デンマーク人は善く戦いましたが、しかし弱はもって強に勝つ能はず、デッペルの一戦に北軍敗れてふたたび起つ能わざるにいたりました。デンマ・・・ 内村鑑三 「デンマルク国の話」
・・・そうして、「金融資本と、それに相応する国際政策とは、結局世界の経済的政治的分割のための強国間の闘争をもたらすことになる。」 これが即ち帝国主義××である。そうして、広大な植民地と市場を独占した資本家は、自分では何等働かずに、搾取によって・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・少数な世界の強国の中の日本としてはあまりに少ない比率である。軍艦の比率を争うのも緊要であろうが、科学戦に対する国防がこの状況では心細くはないか。 繰返して云うが、学位などは惜しまず授与すればそれだけでもいくらかは学術奨励のたしになるであ・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・日本が鎖国として自給自足に甘んじているうちはとにかく世界の強国として乗り出そうとする場合に、この事実が深刻な影響を国是の上に及ぼして来るのである。それはとにかくこのようにいろいろのものが少しずつ備わっているということがあらゆる点で日本の自然・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」
・・・がおこらないように、ところきらわず天から焔が降りそそいでくるあのおそろしさにあわないですむようにとおもっている日本のすべての男女は、ドイツやフランスやその他のあらゆる国々の人民とおなじに、世界を動かす強国の権力者たちが、それぞれのそろばん勘・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・そのための強国間の協力、原子爆弾の禁止、人種的差別の撤廃、マーシャル・プランの廃止、植民地住民の自治原則確立、日独に対する講和促進と占領軍の撤退、中国における民主的連立政権の樹立、タフト・ハートレー法の撤廃、非米委員会活動の廃止、基本産業の・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
出典:青空文庫