・・・ こう言う半三郎の復活の評判になったのは勿論である。「順天時報」はそのために大きい彼の写真を出したり、三段抜きの記事を掲げたりした。何でもこの記事に従えば、喪服を着た常子はふだんよりも一層にこにこしていたそうである。ある上役や同僚は無駄・・・ 芥川竜之介 「馬の脚」
・・・浦川和三郎氏著「日本に於ける公教会の復活」第十八章参照。 芥川竜之介 「誘惑」
・・・人々間の精神的交渉の復活である。なぜなら、彼は精神生活が、物的環境の変化の後に更生するのを主張する人であるから。結局唯物史観の源頭たるマルクス自身の始めの要求にして最後の期待は、唯物の桎梏から人間性への解放であることを知るに難くないであろう・・・ 有島武郎 「想片」
・・・今ではその跡にバラック住いをして旧廬の再興を志ざしているが、再興されても先代の椿岳の手沢の存する梵雲庵が復活するのではない。 向島の言問の手前を堤下に下りて、牛の御前の鳥居前を小半丁も行くと左手に少し引込んで黄蘗の禅寺がある。牛島の弘福・・・ 内田魯庵 「淡島椿岳」
・・・海軍問題以来山本伯の相場は大分下落し、漸く復活して頭を擡上げ掛けると、忽ち復た地震のためにピシャンコとなってしまったから、文壇の山本伯というは苔の下の二葉亭も余りありがたくないだろうが、風が何処か似通っている。山本権兵衛と見立てたのは必ずし・・・ 内田魯庵 「二葉亭余談」
・・・とある其事である(約翰、単に神の子たるの名称を賜わる事ではない、実質的に神の子と為る事である、即ち潔められたる霊に復活体を着せられて光の子として神の前に立つ事である、而して此事たる現世に於て行さるる事に非ずしてキリストが再び現われ給う時に来・・・ 内村鑑三 「聖書の読方」
・・・わが四国全島にさらに一千方マイルを加えたるユトランドは復活しました、戦争によって失いしシュレスウィヒとホルスタインとは今日すでに償われてなお余りあるとのことであります。 しかし木材よりも、野菜よりも、穀類よりも、畜類よりも、さらに貴きも・・・ 内村鑑三 「デンマルク国の話」
・・・法善寺――食傷横丁といわれていた法善寺横丁の焼跡にも、二鶴やその他の昔なつかしい料理店が復活した。千日前の歌舞伎座の横丁――昔中村鴈治郎が芝居への通い路にしていたとかで鴈治郎横丁と呼ばれている路地も、以前より家数が多くなったくらいバラックが・・・ 織田作之助 「大阪の憂鬱」
・・・によって復活し、文壇の「新潮」は志賀直哉の亜流的新人を送迎することに忙殺されて、日本の文壇はいまもなお小河向きの笹舟をうかべるのに掛り切りだが、果してそれは編輯者の本来の願いだろうか、小河で手を洗う文壇の潔癖だろうか。バルザックの逞しいあら・・・ 織田作之助 「可能性の文学」
・・・ 私がこの他アやんを見舞ったのは、確か「復活する文楽」という記事が新聞に出ていた日のことであった。文楽は小屋が焼け人形衣裳が焼け、松竹会長の白井さんの邸宅や紋下の古靱太夫の邸宅にあった文献一切も失われてしまったので、もう文楽は亡びてしま・・・ 織田作之助 「起ち上る大阪」
出典:青空文庫