・・・ おのずからなる石の文理の尉姥鶴亀なんどのように見ゆるよしにて名高き高砂石といえるは、荒川のここの村に添いて流るるあたりの岸にありと聞きたれば、昼餉食べにとて立寄りたる家の老媼をとらえて問い質すに、この村今は赤痢にかかるもの多ければ、年・・・ 幸田露伴 「知々夫紀行」
・・・法医工文理農あらゆる学問の小売部を設けることである。 親類に民事上の訴訟問題でも起りかかった場合に、われわれはある具体的の法律上の知識の概要を得ておきたくなる。そういう時に、もし百貨店で買物をした節に十分か十五分の時間と二円か三円の金を・・・ 寺田寅彦 「夏」
・・・なかには幼い娘を膝にのせている人があり、元来はお母さんが集りの仲間であったのに死なれて、文理大の研究室助手をしているその娘さんが、第二世会員として出席しているというようなこともあった。この集りは、上野の図書館の婦人閲覧室が、夜はほんとうに気・・・ 宮本百合子 「図書館」
出典:青空文庫