・・・動があること、それだけを平面的に文学陣営別にわけてその間でのままごとを許さない大きい底からの力で、歴史の舞台は、わたしたちみんなをのせたまま、文学的営みの各種各様をのせたまま、ゆるやかに、しかも急速に旋回しつつ、移っている。 きょうに予・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・次第次第にそのステップは熱し、高まって、優しく激しい幾旋回かののち、曲は再び沈静して夫妻は互に互の体を支えあいながら、顔をふるるばかりに近く互に見入りながら、消えてゆく音楽の余韻の裡に立っている。 本当にこうも踊れる男と女とが、こういう・・・ 宮本百合子 「表現」
・・・ 歴史が、ほかならぬ今日の、この時の、この私たちの感情と行動にもこもってそのものとして生きているという感覚がはっきりしないことは、昨今のように世界の歴史が強烈に旋回して、日常の気流が至って静穏を欠いている時期、とかく私たちの現実の歴史感・・・ 宮本百合子 「文学のディフォーメイションに就て」
・・・横光氏の知性の否定の傾向に結びついて、時代的な双生児である小林氏のこの旋回ぶりが哀れまざまざと浮立って映って来るのは何故であろう。 人類の歴史の発展において、迂遠なる大道である芸術の路上で、宙がえりやとんぼがえりをいくらしたとて、自他と・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」
・・・彼女たちは薔薇の花壇の中を旋回すると、門の広場で一輪の花のような輪を造った。「さようなら。」「さようなら。」「さようなら。」 芝生の上では、日光浴をしている白い新鮮な患者たちが坂に成った果実のように累々として横たわっていた。・・・ 横光利一 「花園の思想」
出典:青空文庫