・・・ 日本一健康児 日本一の健康児弘君と小枝子さんのすくすくとはぐくまれた体と心の心持よさ。よろこび溢れている親御さんたちの笑顔、誰しもこの少年少女の前途を祝福してやりたい。 今年第十一回目であれば、第一回の日・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・何某の講談は塩原多助一代記の一節で、その跡に時代な好みの紅葉狩と世話に賑やかな日本一と、ここの女中達の踊が二組あった。それから饗応があった。 三間打ち抜いて、ぎっしり客を詰め込んだ宴会も、存外静かに済んで、農商務大臣、大学総長、理科大学・・・ 森鴎外 「里芋の芽と不動の目」
・・・多胡辰敬は尼子氏の部将で、石見の刺賀岩山城を守っていた人であるが、その祖先の多胡重俊は、将軍義満に仕え、日本一のばくち打ちという評判を取った人であった。後三代、ばくちの名人が続いたが、辰敬の祖父はばくちをやめ、応仁の乱の際に京都で武名をあげ・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫