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・・・壁にかかった星座早見表は午前三時が十月二十何日に目盛をあわせたまま埃をかぶっていた。夜更けて彼が便所へ通うと、小窓の外の屋根瓦には月光のような霜が置いている。それを見るときにだけ彼の心はほーっと明るむのだった。 固い寝床はそれを離れると・・・
梶井基次郎
「冬の日」
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・・・そのまん中に円い黒い星座早見が青いアスパラガスの葉で飾ってありました。 ジョバンニはわれを忘れて、その星座の図に見入りました。 それはひる学校で見たあの図よりはずうっと小さかったのですがその日と時間に合せて盤をまわすと、そのとき出て・・・
宮沢賢治
「銀河鉄道の夜」