・・・ 少し以前から、ロザリーに様子が変だと心づかれていたドラは、一人の女友達の部屋で何か医者の明言しなかった理由の為に危篤に陥り、一晩の苦しみで到頭死んでしまいました。悲しさでやっと我を支えているロザリーが、最後にドラの名を呼んだ時、瀕死の・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・ ロンドンを立つ時、当局の役人はナイチンゲールの問いに答えて、スクータリーには何一つ欠けたものはないと明言した。よしんば衛生材料が多少不足していても四日間でコンスタンチノープルから支給されるのだから、と。その言葉にもかかわらずフロレンス・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・林房雄氏は、真面目な文学者評論家は当今意識的に文壇を離れたがっている、と云い、岸田国士氏は文壇が重荷になっている、と明言しておられる。そして、文学が大衆性とか指導力とかを持つようになるためには、実業家・官吏・軍人等の真面目な要求と共通するも・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・東條は死んでも信念は死なないと云い、ファシズムの存続が明言されていることは、きわめて厳粛に、きわめて真面目にわたしども人民が考えなければならない。現在私どもはいろいろの点でだまされています。私どもの人民としての知慧も決心もまだ十分でないんで・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・そういう要求を明言することさえ野暮であるというのが一般の通念である。山本有三氏の芸術を愛する者の心情は或は菊池寛氏の腰を据えた常識を愛する者の気分より現代の日本に貢献するところが多いかもしれないにかかわらず、山本氏は「一部の異論」で芸術院会・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
・・・と明言し、ドイツで昨年音楽放送を増大したが、これは聴取者よりの希望を反映したものであると発表している。日本では僅に一年七・八千通の投書が協会へ送られるにすぎない。「一体に日本人は投書する事を余り好まぬ風習があって」投書がかくの如く尠いことを・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
・・・この計画について、私達婦人が当時も非常に驚いたことは、大河内は日本の農村における婦人達の世間知らず、忍耐力、従順を利用して、真面目に働かせることは有利であると、その著書の中に明言していることである。同時に大勢の労働人員を一つの工場の内に集め・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・予はこれを明言すると同時に、予が恰もこの時に逢うて、此の如き人に交ることを得た幸福を喜ぶことを明言することを辞せない。また前に挙げた紅葉等の諸家と俳諧での子規との如きは、才の長短こそあれ、その作の中には予の敬服する所のものがある。次にここに・・・ 森鴎外 「鴎外漁史とは誰ぞ」
出典:青空文庫