・・・一月六日の時事新報二面のトップに「五・一五事件山岸中尉の新生」という見出しの写真入り記事があったのをごらんでしたろう。昭和七年五月十五日に永田町の首相官邸で当時の首相であった犬養毅を射殺した一団のテロリスト将校がありました。前年にいわゆる満・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
・・・自分は毎朝、食後、時事新報の広告欄を見る。時には、「嫁入度」などと云う活字の下を、驚と、好奇心と相半ばした心持で読みなどし乍ら、「貸家、赤坂見附近」と云うような文字でも見つかると、心をあつめて、間数や家賃を読むのである。 始め、片町を見・・・ 宮本百合子 「又、家」
・・・とを時事新報にのせたのは、漸く明治三十二年、彼が六十八歳で歿する僅か二年前であったということは、日本の社会の歴史のどういう特徴を語っているのであろうか。世間一般の気風とかく落着かずまじめに女学論など唱えてもまじめに耳を傾ける人などはなかった・・・ 宮本百合子 「三つの「女大学」」
出典:青空文庫