・・・人間というものが本格的にリアリストであり、芸術の根蔕がリアリズムであるからには、作家として現実を真にその活き動く関係のままに把握しうる眼としての世界観、史的唯物論に立つ現実のみかたと、そこからのリアリズムを求めるのである。 現実を、その・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・を称讚し「トルストイ、ドストイェフスキーの手法とともにその鋭く、はげしい精神をも正しくつたえているように思えるたしかな本格的な、小説の名にあたいする小説である」といっている。 長篇のわずか半ばで加えられたこのように横溢的な評言から、最も・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・「最もおくれた労働者の間にも『活字にのせたい』という本格的情熱――掠奪と圧制の上に築かれた現代の社会秩序全体とのたたかいのこういう萌芽的な形態への情熱が発表している」というレーニンの人間らしい洞察に立って具体的モメントをさがしてゆくと、サー・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・ 私小説はそれを克服して後始めて本格小説となるという河上徹太郎、小林秀雄両氏などの説も今の作家にとっては何よりの警告であったと思うが、そのようになるための方法としてでも私は制作をするということが本業ではなく副業であると見る見方をとらねば・・・ 横光利一 「作家の生活」
出典:青空文庫