・・・『読売新聞』で、杉山平助氏が「党生活者」第六部を批評していたが、それは、この作品が五月号の部分では最も明瞭に且つ重点をそこにおいて企業内の反動政策との闘争について書いているのに肝心のそのところはちっとも理解せず、同志伊藤や笠原という婦人・・・ 宮本百合子 「小説の読みどころ」
・・・ 二 同じく、プロレタリア作家の発展の本質を理解し得ないことから『国民新聞』に掲載された杉山平助氏の「小林多喜二論」も彼を支持しつつ誤った評価を結果している。杉山氏は書いている。「彼のごとき作家的才能のある・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・江戸で同じ季吟門下の卜尺の厄介になり、或は幕府の御納屋商人杉山杉風の世話をうけたりした。又幕府の小石川関口の水道工事の役人になって何年か過したが、この経済的に不遇な感受性の烈しい土木工事監督の小役人は、その間に官金を使いこんだ廉で奉行所から・・・ 宮本百合子 「芭蕉について」
・・・更にそれぞれの人物の描き方、人間の観方に深い異議を喚び起された。杉山平助氏が新聞の月評でこの作品に触れ、余談ではあるがと傍註をして、もし一度時期が彼等に幸いしたのであったならば、このような人物でさえも一通りの役目に就いて、人々を支配する立場・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・『新潮』の杉山平助氏の論文、『文芸』の大宅氏の論文を熱心に読んだのは、恐らく私ひとりではなかったであろうと思われる。二人の筆者は、いわゆる転向の問題賛否それぞれの見解を今日の現象の上にとりあげ、内容の分類を行い、問題の見かたをわれわれに示し・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・ 杉山平助氏の『婦人公論』における恋愛論は、ジャーナリストとしての技術を傾けて書かれているものであるが、中に短く引用されている加賀耿二氏の文章がある。「労働者に恋愛などという高尚なものはない。あるのは『おい、どうだい?』ばかりである」云・・・ 宮本百合子 「もう少しの親切を」
・・・ある座談会で杉山平助氏は、中農の娘が巡査、小学校の教員、村役場の役員その他現金で月給をとる人のところへ嫁にゆきたがるのは、農村に現金が欠乏しているからと、語っておられる。それも確に一つの原因ではあろうが、今日、婦人雑誌の一つもよむ若い農村の・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
出典:青空文庫