・・・ アレゴリー、譬話というとわれわれは、まずエソープを思いだす。桃太郎、カチカチ山、兎と亀その他いわゆるおとぎ話は、たくさんアレゴリーの形式で書かれている。 ロシアにもクルイロフというがっちりした爺さんがいて、エソープの焼直しもの・・・ 宮本百合子 「新たなプロレタリア文学」
・・・ 三つ子が百度も聞いた桃太郎の話をあきもしないで、いくどでもきく様な気持の人達はあきもしないで同じ様な事を書いたのをよみます。 そして又いかにもその人達にとっては少女小説と云うものが大した魅力を持って居るんです。 どこまでもそれ・・・ 宮本百合子 「現今の少女小説について」
・・・を発表して「恰も鬼ケ島の宝物を満載して帰る桃太郎の船」のように世間から歓迎された二年後のことであった。三つ年下だった二葉亭はその頃のしきたりで当時新しい文学の選手であった「春のやおぼろ」と合著という形で「浮雲」の上巻を出版した。ところが、二・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・今は知人に一斤ずつ米をもらったりして、働かなければならないと云うなら死ぬと云って、桃太郎主義を奉じて居る。私「桃太郎主義って?」西「――つまり桃太郎がすきんですね。この間九州から出て来ましてね、今このさむいのに、代々木の方で夜警をや・・・ 宮本百合子 「一九二三年冬」
・・・ 昔のおはなしかね、……ハイ昔のおはなし、桃太郎 彼は長火鉢の上にのって居たくりものの桃の菓子器か何かをさした。 ○三太郎と云う猫がひろって育ててある。 ○九谷の茶碗が秘蔵である。 ○天井の竹竿には、下絵をつけた亀の子の・・・ 宮本百合子 「「禰宜様宮田」創作メモ」
出典:青空文庫