・・・その門から処女製作のソヴェト・フォード第一号が、歓呼の声に送られて動き出した時の光景は、ソヴキノの映画ニュースをとおして、モスクワの労働者の胸にまでつよく刻みこまれている。 ニージュニに新しくソヴェト・フォード製作工場が出来たという事実・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・無条件に通じ合う愛というものがあり得るなら、こうやって初冬の晴れた大空を劈いて休戦を告げる数百千の汽笛が鳴り渡るとき、どうして人々は敗けて、而も愛するものを喪った人々の思いを察しようとしないのだろう。歓呼のうちに自分の声も合せながらもう決し・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・ 社会主義ソヴェト、万歳 メー・デー万歳 ウラーアァ 轟く歓呼の声の下で、動き出したぞ!「インターナショナル」の一際高い奏楽といっしょに、先ず先頭の赤旗が広場へ向って静かに繰り出した。 続いて、あっちの門からも! 合・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・から叫ばれるスターリンの激励演説とそれに応える数百万の勤労者の歓呼の声が轟くであろう。 諸君。われわれにもその確信と闘争に満ちたソヴェト同盟のプロレタリアの叫びが聴えるようではないか。よしゴルロフカ「労働宮」はまだわれわれのところに無い・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・ 南露からコーカサスまでを巡遊し自分の新しい建設に熱中しているソヴェト同盟の労働者・農民の嵐のような歓呼に迎えられ、ゴーリキイは感動からもやや疲れてレーニングラードへやって来た。そのころの私はレーニングラードにいて、「ソヴキノ」試写室で・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・あらゆる人群は、モスクワの中央部へ、赤い広場へと注ぎこまれて、すこし離れた街筋は、人気ない五月の空に、街頭ラジオが溢れだす音楽と大群集の歓呼の声をまいている。夕方、行進が解散になり、赤いプラカードの林が陽気な歌にゆれながらこの地区に戻って来・・・ 宮本百合子 「メーデーに歌う」
・・・カインツは馳け回って大声に歓呼しながら帽子を振り、ロッテはもう役者を廃めるといって苦しげに泣いた。劇場を出た時には三人とも歓びのあまり、酔いつぶれた人のように、気の狂った人のように、恥も外聞もなく、よろめいて歩いた。バアルはその夜徹夜して書・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫