・・・という題をもつ彼一流の毒舌的な評論をかいた。肉体派、中間小説派の作者たちとその作品のそまつな戦後的商品性を、へど的にむき出してその安価さを排撃した。けれども、「小豚派作家論」と題してきり出された勇ましいその評論も、すえは何となししんみりして・・・ 宮本百合子 「現代文学の広場」
・・・ 文学の賞の今日のありようについても、単に皮肉な毒舌や内輪のごたつき話に対する嘲笑をもって終らず、謂わば文学における自分の努力の一つ一つを、今日の文学の質をよりましなものとしていつしか変えてゆくべきものとして、責任深く感じる心持が大切と・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
・・・彼女の浮々した毒舌に黙って微笑しつつ、ダーリヤは、新しく来た客のために茶を注ぎ、寝台の上へ引込んだ。彼女は、自分の前で跪いたり上靴へ接吻したりした男に、部屋着姿を見られるのを工合わるく感じたのだ。「ねえ、ステパン・ステパノヴィッチ、この・・・ 宮本百合子 「街」
出典:青空文庫