・・・ベス・プリゾールヌイの一人であったということには深甚な意味がある。ソヴェト同盟の社会がベス・プリゾールヌイのために「子供の家」を建設し、彼らの人間性の尊貴と有能性とを腐敗から防衛したことは、映画芸術で「人生案内」の感動的作品を生む動機ともな・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・自分を胎のうちから愛し育てて呉れた者と云うつきない愛、信頼によって、他に比類ない深甚な友愛によって結ばれた横の関係となるのです。何歳になっても、親子、と云うやや階級的な段ではありません。もう、親は親の信念、子は子の信念で生活すべきもの、そし・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・学が否定され、民衆の文学、大衆の文学が云われて来て、ブルジョア文学における人間性が過去の追究力を喪失し、あるがままの現れにしたがって写し描いてゆく、というような状態に陥る危険を示していることはまことに深甚な示唆を含んでいる。文学において同じ・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・例えば、初期の左翼芸術理論に深甚なる影響を及ぼしたプレハーノフやデボーリンの理論は、一九三二年以来高められた国際的な哲学・芸術理論から検討によってその理論における一部の誤謬が認められているのであるが、筆者は既に当時それらの成果を十分摂取して・・・ 宮本百合子 「『文芸評論』出版について」
・・・桜は春咲く花と云っても、確定した日までは予言出来ないように、深甚な運命の戸口は、箇性の置かれた繞境、発育の程度によって、皆異なった瞬間に開かれます。教育者などが或る時陥りがちな、概念的類推にのみよらず、自己の道程を、全く自己に即して内観する・・・ 宮本百合子 「われを省みる」
出典:青空文庫