・・・池の水の運動についてもまだ調べれば調べる事がいくらでも残っている。池の測深もその時やった結果が紀要に出ている。案外深い池である。 自分の知っているだけの文献を数えてみても、これだけあるのだから、私などの知らない他の方面の学科に関するもの・・・ 寺田寅彦 「池」
・・・ この鳴き声の意味をいろいろ考えていたときにふと思い浮かんだ一つの可能性は、この鳥がこの特異な啼音を立てて、そうしてその音波が地面や山腹から反射して来る反響を利用して、いわゆる「反響測深法」を行なっているのではないかということである。・・・ 寺田寅彦 「疑問と空想」
・・・艫のほうでは引っ切りなしに測深機を投げて船あしをさぐっている。とうとう船が止まった。推進機でかきまぜた泥水が恐ろしく大きな渦を作って潮に流されて行く。右舷に遠くねずみ色に低い陸地が見える。 日本から根気よく船について来た鴎の数がだんだん・・・ 寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
出典:青空文庫