・・・アメリカと日本とがシベリアで帝国主義の利益のための火事場どろぼうをやろうとした。ソヴェト同盟の勤労階級は西から東からおそいかかって来る反革命軍を追っぱらった。 が、列国の陰謀は、これではすまなかった。 一九二一年に起ったクロンシュタ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・たとえば、火事場の焔をくぐって火花を体じゅうに浴びながら、一人の子供をたすけ出し、再び身をひるがえしてその母を救う消防夫の行動は、実に美しさを感じるほど英雄的であるに違いない。彼が、仕事を終って、一同の感謝と称讚にこたえて、謙遜に満足そうに・・・ 宮本百合子 「祭日ならざる日々」
・・・全体のそういう火事場泥棒めいた雰囲気のなかで、先生の正直であれという声は、案外にも、だから先生んちはいつも貧乏なんだね、という子供のひそひそ話をひき出しさえしているのである。 十二月四日から一週間、「人権擁護週間」が行われた。読売新・・・ 宮本百合子 「修身」
・・・「まあ、変にくすんだ色だこと」「これでも瀬戸物でしょうか」「石じゃあないの」「火事場の灰の中から拾って来たような物なのね」「墓の中から掘り出したようだわ」「墓の中は好かったね」 七つの喉から銀の鈴を振るような笑声・・・ 森鴎外 「杯」
出典:青空文庫