-
・・・私には、其少年が、総ての事を――白耳義の孤児に何か仕て上げようと思い付いたのも、その為に会に入り、夕刊を売るのも、皆自分がよい事だと思い、自分が自分の心で為るべき事だと思って仕たと云う事が尊く感じられるのです、その少年は、決して人に賞められ・・・
宮本百合子
「私の見た米国の少年」
-
・・・借家人の為ることは家主の責任である。サアベルが強くて物が言えないようなら、サアベルなんぞに始から家を貸さないが好い。声はいよいよ高くなる。薄井の爺さんにも聞せようとするのである。 石田は花壇の前に棒のように立って、しゃべる女の方へ真向に・・・
森鴎外
「鶏」