・・・昔の為政家は実際そういう事をしたもののように見える。 しかし私のこの案はやはり賛成してくれる人はなさそうである。私のいうような「悪行日」はだんだん廃止される。最近にはまた勉強の活勢力を得るための潜勢力を養うべき「怠け日」であった暑中休暇・・・ 寺田寅彦 「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・それにかかわらずそういう計画をたてるというのは現代の為政の要路にある人達が地を相することを完全に忘れている証拠である。 地を相するというのは畢竟自然の威力を畏れ、その命令に逆らわないようにするための用意である。安倍能成君が西洋人と日本人・・・ 寺田寅彦 「颱風雑俎」
・・・もしそういうものができたら、私はそれをあらゆる階級の人にすすめたい。為政家が一国の政治を考究する時、社会経済学者がその学説を組み立てる時、教育者がその教案を作製する時、忘れずに少時このレコードの音に耳を傾けてもらいたい。あらゆる心と肉の労働・・・ 寺田寅彦 「蓄音機」
・・・しかし歴史を読んでみると、為政者が君国のために、蒼生のためにその国の行政機関を運転させるには、ただその為政者たるものが誠意誠心で報国の念に燃えているというだけでは充分でないらしく思われる。いかなる赤誠があっても、それがその人一人の自我に立脚・・・ 寺田寅彦 「「手首」の問題」
・・・もっともこれを忘れているおかげで今日を楽しむことができるのだという人があるかもしれないのであるが、それは個人めいめいの哲学に任せるとして、少なくも一国の為政の枢機に参与する人々だけは、この健忘症に対する診療を常々怠らないようにしてもらいたい・・・ 寺田寅彦 「天災と国防」
・・・ これほどの損害であるのに一般世間はもちろんのこと、為政の要路に当たる人々の大多数もこれについてほとんど全く無感覚であるかのように見えるのはいったいどういうわけであるか、実に不思議なようにも思われるのである。議会などでわずかばかりの予算・・・ 寺田寅彦 「函館の大火について」
・・・この知事のような為政者は今でも捜せばいくらでも見つかりそうな気がするのである。 少なくも、むやみに扁桃腺を抜きたがる医者は今でもいくらもいるであろう。 十八 近年の統計によると警視庁管内における自殺者の数が著・・・ 寺田寅彦 「藤棚の陰から」
一、世に為政の人物なきにあらず、ただ良政の下に立つべき良民乏しきのみ。為政の大趣意は、その国の風俗、人民の智愚にしたがい、その時に行わるべき最上の政を最上とするのみ。ゆえにこの国にしてこの政あり、かの国にしてかの政あり。国の・・・ 福沢諭吉 「学校の説」
出典:青空文庫