・・・政治上の革命がしばしば草沢の無名の英雄に成し遂げられるように、文芸上の革命もまた往々シロウトに烽火を挙げられる。京伝馬琴以後落寞として膏の燼きた燈火のように明滅していた当時の小説界も龍渓鉄腸らのシロウトに新らしい油を注ぎ込まれたが、生残った・・・ 内田魯庵 「四十年前」
・・・尤も電波とは云ってもそれは今のラジオのような波長の長い電波ではなくて、ずっと波長の短い光波を使った烽火の一種であるからそれだけならばあえて珍しくない、と云えば云われるかもしれないが、しかしその通信の方法は全く掛け値なしに巧妙なものといわなけ・・・ 寺田寅彦 「変った話」
・・・一九三〇年頃からアメリカに於て新しきヒューマニズムの問題に関する最初の烽火がアーヴィング、バビット、ポオル等によってあげられた。フェルナンデスはその運動の影響をも受け、「行動のヒューマニズム」という標語を「言葉のデリケエトなニュアンスの上に・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫