・・・詳しいことは忘れたが、何でも庄屋になる人と猟師(加八になる人の外に、狸や猪や熊や色々の動物になる人を籤引きできめる。そこで庄屋になった人が「カアチ/\鉄砲打て」と命ずると、「カアチ」になった子が「何を打ちましょう」と聞く。そこで庄屋殿が例え・・・ 寺田寅彦 「追憶の冬夜」
・・・そこを猟師がつかまえるのだという。相手がウニコールであるとは云いながら甚だ罪の深い仕業であると云わなければならない。 五 三四三頁にはこんな事がある。 スマトラのドラゴイア人の中で病人が出来ると、その部落・・・ 寺田寅彦 「マルコポロから」
・・・ 簔帽子をかぶった専門の猟師が、草をざわざわ分けてやってきました。 そこで二人はやっと安心しました。 そして猟師のもってきた団子をたべ、途中で十円だけ山鳥を買って東京に帰りました。 しかし、さっき一ぺん紙くずのようになった二・・・ 宮沢賢治 「注文の多い料理店」
・・・そこへ猟師共が来まして、この蛇を見てびっくりするほどよろこんで云いました。「こんなきれいな珍らしい皮を、王様に差しあげてかざりにしてもらったらどんなに立派だろう。」そこで杖でその頭をぐっとおさえ刀でその皮をはぎはじめました。竜は・・・ 宮沢賢治 「手紙 一」
・・・仕方なしに猟師なんぞしるんだ。てめえも熊に生れたが因果ならおれもこんな商売が因果だ。やい。この次には熊なんぞに生れなよ」 そのときは犬もすっかりしょげかえって眼を細くして座っていた。 何せこの犬ばかりは小十郎が四十の夏うち中みんな赤・・・ 宮沢賢治 「なめとこ山の熊」
・・・卓の上には地球儀がおいてありましたしうしろのガラス戸棚には鶏の骨格やそれからいろいろのわなの標本、剥製の狼や、さまざまの鉄砲の上手に泥でこしらえた模型、猟師のかぶるみの帽子、鳥打帽から何から何まですべて狐の初等教育に必要なくらいのものはみん・・・ 宮沢賢治 「茨海小学校」
・・・このことは、どんな猟師も知っている。私たち婦人は、生きることを欲している。美しく幸福なわが日本に、よろこびをもって生きることを望んでいるのである。 人まかせにして、今日の破局が生じている以上、私たちが、もう人まかせにはしておけないと思っ・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫