・・・ 五色のイルミネーションは対岸のモスクワ市発電所にもあって、三百六十四日はむっつり暗いモスクワ河の水を色とりどりにチラつかせている。 モスクワの群集はイルミネーションに対しては素朴である。群集の中から満足した笑いごえがし、或る者はそ・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ モスクワ市発電所の虹のようなイルミネーションが、チラチラ美しくモスクワ河の面に溶けている。赤色労働組合の総本部労働宮は、どうだ! まるで闇に浮き立つ光の宮だ! クレムリンの時計台にとりつけられたラジオ拡声器は絶えずピアノ行進曲を広場中・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・たとえば、ドニェプルの大発電所は、第一次五ヵ年計画時代の全ソヴェト人にとってじつに愛着と誇りの象徴であったが、ナチス軍がドニェプル地区に侵略してくる危険が迫ったとき、大発電所はそれを建設した労働者の手によって破壊された。その記事を新聞でよん・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・下を見ると、モスクワにはどんな工場がいくつあって、そうして発電所がある。その発電所と我々のところの電燈とどういう関係があるだろう? 誰か知ってるか? そういう風に、子供はどんどんそういう事実から想像することが出来る。 何も、大人が特別に・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・大家連が依然として芸者、舞妓、花、蛙などにとじこもっているに対し、題材として新しい方向を求め、例えば発電所・橋・市街鳥瞰図風の素材を扱った新人もあるが、結局それ等の題材は風景として理解されているに止っているし、日本画としての技術上からも、そ・・・ 宮本百合子 「帝展を観ての感想」
・・・ 私は同志ドミトロフにつれられて、先ず大仕掛の動力室発電所へ入って行った。坑内の換気のため、エレベーターやトロを動すために、動力室では五人の熟練工が絶えず働いているが、感服したのはその安全装置である。唸って震えている、巨大なモーターの周・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・ 都会に工場はドシドシ出来る。 農村で集団農場がどんなに殖えたかは、去年の穀物総収穫が、一昨年の七千百七十万トンに比べて八千六百六十万トンに増加したことで明らかだ。 発電所の新設工場は、ドネープル河をはじめ所々方々で行われている・・・ 宮本百合子 「なぜソヴェト同盟に失業がないか?」
・・・電気工の助手として働いている中に一九一七年に逢い、一九二七年、二十三歳で健康を失い四肢の自由を失うまでオストロフスキーは発電所の火夫から鉄道建設の突撃隊、軍事委員、同盟の指導等精力を尽して、組織が彼を派遣した部署に於て活動した。四肢の自由を・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・革命前から活動していた女流作家でシャギニャーンと云う人は、水力電気発電所に取材した小説を書いてレーニン賞を得ました。又もとのブルジョア作家も社会的に働き出して、男と同じ大きな取材にもドシドシ取り組んでいます。 要するに婦人作家の「不振」・・・ 宮本百合子 「婦人作家の「不振」とその社会的原因」
・・・道学先生は義務の発電所のようなものが、天の上かどこかにあって、自分の教わった師匠がその電気を取り続いで、自分に掛けてくれて、そのお蔭で自分が生涯ぴりぴりと動いているように思っている。みんな手応のあるものを向うに見ているから、崇拝も出来れば、・・・ 森鴎外 「かのように」
出典:青空文庫