・・・それがために今まででも互に知り合うていた俳句の標準などもいよいよ精しくわかって来るので、その標準の一致して居る点、一致せん点などについて今更のように新に発明するところがある時もある。それについてつくづくと考えて見るにわれわれの俳句の標準は年・・・ 正岡子規 「病牀苦語」
・・・ あそこの旦はんと父はんとは知合うてやもん、何でもない事ってっしゃろ。「あの先の主人の政吉はんとは知っとるが、この頃では、東京の学校を卒った二番目の息子が何でもさばいて、あの人はもう隠居同然にしとるんやからなあ。ほらあの、父親のつけ・・・ 宮本百合子 「栄蔵の死」
偶然のことから、私は「囚われた大地」がまだ発表されず、あるいはその原稿も小部分しか書かれていなかったと思われる時分、平田小六氏と知り合う機会を得た。そのころ平田さんは、日本にはまだ農民の生活を如実に書いた文学がすくないとい・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・ この本は、いろいろな層の読者に与える何ものかをもっているが、ちがった環境とちがった性格の同じ年ごろの若い人たちがよんだら、男にしろ女にしろ、明日に伸びつつあるお互を知り合うために、どんなに有益だろう。ここには円卓会議がある。ここではみ・・・ 宮本百合子 「小さい婦人たちの発言について」
・・・ さっき藤森さんが提案されたように、この大会を機会に世界の民主的文学団体へ向って私たちのメッセージを送るということは、この日本独特であって、しかも世界に連なった平和と民主主義文学運動の実際を知り合うために大変いいことだと思います。・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・ 偶然のことから二三の作家と知り合うようになり、オオドゥウの作品の特別な魅力が彼らを動かした。「小さき町にて」「ビュビュ・ド・モンパルナス」「母への手紙」の作者、シャルル・ルイ・フィリップも熱心な彼女の支持者であったが、自分のためにさえ・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
出典:青空文庫