・・・人間が人間を搾取することと闘い、それを絶滅する社会主義の世の中だけが、働く婦人の幸福を守ることは、ソヴェト同盟の働く婦人が、自分たちの闘争の姿でわたし等に示していると思う。「プロレタリアの解放は、ただプロレタリア自身の仕事であるし、同様・・・ 宮本百合子 「ロシア革命は婦人を解放した」
・・・ためには、個人のうちに作用している時代と永遠なものをはっきり歴史的な関係としてつかんで、悩みも死もおそれず迎えるだけでなく、非合理な悩みと死とは、それを絶滅するために精力をかたむける人間の人間らしい光栄を肯定するときになっているのだと思われ・・・ 宮本百合子 「若き精神の成長を描く文学」
・・・それだからと云って、癌を人間社会から絶滅されるようにと努力されているすべてのことを、あざ笑う誰がいるだろう。どんな癌もそれひとつで、いちどきに数万人を殺すことはない。原子兵器を全人類にとっての癌たらしめまいと奮闘する仕事を中傷するものがある・・・ 宮本百合子 「私の信条」
・・・イゴイズムそのものは絶滅は望まれないまでも、イゴイズムをして絶対に私の愛を濁さしめないことは、私の日常の理想でありまた私の不断の鞭です。この志向だけについて言えば別に問題はありません。これが真の自己を生かせる道ですから。 しかし私は自己・・・ 和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
・・・をやるためには、まず自己否定がなければならぬ。 即ち自己にとっては自己の肯定と否定とはアルタナチヴではない。ただ肯定と否定との場合に「自己」の意味が違うだけである。絶対に「自己」を絶滅させようという要求は自分にはまだ縁がない。ショーペン・・・ 和辻哲郎 「自己の肯定と否定と」
出典:青空文庫