・・・ 住職のことはこの話にそう編み込む必要がないが、とにかく、かれは僕の室へよく遊びに来た、僕もよく遊びに行った。酔って来ると、随分面白い坊主で、いろんなことをしゃべり出す。それとなく、吉弥の評判を聴くと、色が黒いので、土地の人はかの女を「・・・ 岩野泡鳴 「耽溺」
・・・ 婦人代議士ばかりがかたまろうとするならば、その集団の力で内外へ働きかけ、各自の党が、婦人代議士たちの存在に組織的な現実性を賦与するよう、組織の内部へ正直に婦人代議士をも編み込むよう活動することに、最良の、そして最も適切な方向がある。も・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・ そしてそのかなり調子のなだらかな言葉を自分の髪の中に編み込む様に耳を被うてふくれた髪を人指指と拇指の間で揉んで居た。 のけものにされた様にして居た篤は千世子に髪の結い方をきいた。「何んになさるんです? 私の髪なんか。」・・・ 宮本百合子 「蛋白石」
出典:青空文庫