・・・まして、きょうの新聞によると、日本には西ドイツと同じように、経済集中排除法を緩和して資本家の復活を可能にしようという案が示されている。「極東委員会の、ソヴィエト、中国、フィリッピン等の各国代表から猛烈な反対を受けることは十分承知し」なが・・・ 宮本百合子 「正義の花の環」
・・・を書くことが出来たのは、作家の住宅問題を緩和するために郊外に「創作の家」があったからである。 今日、こういう作家生活全般のために考えられている設備はどんなに発展して来ているであろうか。文学サークルなどの活動はどんなになって来ているであろ・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・という恐怖が目覚めて、大いそぎで涙を拭く彼女は、激情の緩和された後の疲れた平穏さと、まだ何処にか遺っている苦しくない程度の憂鬱に浸って、優雅な蒼白い光りに包まれながら、無限の韻律に顫える万物の神秘に、過ぎ去った夢の影を追うのであった。・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・利害相剋の緩和者として出現している梶井のありかたも、いいが、気になる何かが在るところも面白いと思う。アサが文選の仕事を見習いはじめてからの情景、山岸がアサに「お前帰れ――家へ帰れよ」と云う夫婦の心持の縺れの描写のあたりは職場での男対女の感情・・・ 宮本百合子 「徳永直の「はたらく人々」」
・・・ これらの文学的成功は、幾分でもバルザックの経済危機を緩和したであろうと誰しも推察するのであるが、彼の場合実際生活は決してそのように内輪に運転されなかった。一部をやっと返済したかと思うと、一方では負債の増大するようなことばかりが起った。・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・生産の増加が勤労者の生活内容を改善する根本的な要素であるとすれば、三〇%の生産増加が勤労者家計を相当程度に緩和することは予想できる」生活の苦しさを解決するには「生産の復興が根本である」「二十三年をこのような復興計画の第一年としたい」と。生産・・・ 宮本百合子 「ほうき一本」
・・・ 不熱練 熱練 志.片. 志.片.猶太人 ……4/2―5/2 6/3―8/4アラブ人……1/3―2/1 3/1 交通機関の血圧上昇がやや緩和された。フリート町だ。新聞社町である・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・宣教師に対して、禁教緩和の望みがあるような印象を与えたのは、彼とその子息の上野守なのである。一向宗の狂信が依然として続いていたとすれば、おそらくこういう態度を取ることはできなかったであろう。したがって帰参のころには一向宗の熱は醒めていたと推・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・純一君の場合は、母親がこの緩和につとめないで、むしろ父親の癇癪に対する反感を煽ったのではなかろうか。そのために、年とともに消えて行くはずの折檻の記憶が、逆に固まって、憎悪の形をとるに至ったのではなかろうか。そうだとすれば、漱石夫妻の間のいざ・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫