・・・ たちまち丹造の欲がふくれて、肺病特効薬のほか胃散、痔の薬、脚気良薬、花柳病特効薬、目薬など、あらゆる種類の薬の製造を思い立った。いわば、あれでいけなければこれで来いと、あやしげな処方箋をたよりに、日本中の病人ひとり余さず客にして見せる・・・ 織田作之助 「勧善懲悪」
・・・然しながら、妻が、泥酔した夫や花柳病にかかっている夫との性的交渉を拒絶すべき母として当然の権利を、擁護してはいないのである。性別は染色体の問題であることを私達は知っている。染色体はそれを包蔵する細胞の健康状態と勿論結びついた関係にある。互に・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・、失業と夫婦生活の破壊との生々しい関係、失業と売笑との直接な関係、大多数者の慰安ない生活と低劣なままに繋ぎとめられている文化水準とアルコール中毒との具体的関係、ましてや戦争の後帰還兵によって伝播される花柳病の恐るべき問題などについては、科学・・・ 宮本百合子 「花のたより」
出典:青空文庫